【看護】アルツハイマー型認知症患者さんにおける食事での関わり方

看護

アルツハイマー型認知症の病態

病態の主体はAβタンパクという異常なタンパクからなる老人斑の出現とされている。これをアミロイド仮説という。
そのほか、変性した神経原繊維の出現、アセチルコリン作動性神経細胞が顕著に脱落し、脳神経細胞が急激に減少して脳萎縮が起こり、特に記憶をつかさどるといわれる海馬をはじめ大脳皮質全般にみられ、その結果物忘れが生じ、日常生活に支障が生じる。初老期(65歳以前)発症の早発性アルツハイマー病と、老年期(66歳以降)発症の晩発性アルツハイマー型認知症に分かれる。アルツハイマー型認知症は認知症全体の50~60%を占め、女性に多いとされている。

症状

早発性アルツハイマー病では、失語、失言、失読、失行のような認知機能の障害がみられる。一方、晩発性のアルツハイマー型認知症はゆっくりと進行し、記憶障害(もの忘れ)を中心とする。早発性アルツハイマー型認知症では通常、物忘れの自覚があるが、進行すると物忘れの自覚はなくなる。
加齢による物忘れ昨日食べたものを思い出せないが、きっかけがあれば思い出す。
記憶障害が疑われる物忘れ食事したこと自体を忘れてしまう。

診断

認知症の一般診断は、頭部CTやMRI画像で広範囲に広がる大脳皮質の萎縮、脳室の拡大がみられる。
改訂長谷川式簡易知的能力評価スケールやMMSE(ミニ精神機能検査)など、負担をかけない簡易スクリーニング心理検査が行われる。

看護師として食事の際、どう関わるか

アルツハイマー型認知症の症状では、失語、失言、失読、失行のような認知機能の障害があります。その結果、食事を食事として認識しなかったり、食事をしていることを忘れてしまったりすることで「食べない」や「食事に時間がかかる」といった食行動の障害につながります。
ここでは、四つの場面を想像してみます。

食べ始めることができない

食事場面だと分からない、食べ物だと分からないことがあり、その際は「ご飯がきましたよ」「Aさん、食事を食べましょう」など具体的な言葉かけをして初めの一口を食べていただくようにします。Aさんが食事だと認識すると食べ始めます。道具の使い方が分からない場合もあるので、ご飯をおにぎりにして手で食べやすいようにしたり、食事形態を工夫してみてはいかがでしょうか。薬の影響や生活リズムの乱れで食事の際に眠たいことがあり、傾眠するようであれば日光浴(光療法)や主治医に現状を伝えて薬の調整を依頼しましょう。

食べている途中で止まってしまう

周りに意識が向いて集中できない場合は、一品ずつ提供したり、個室で食事をしていただくなど食事に集中できる環境にしましょう。体力が落ちて、食べることに疲れている場合もあるので、メイバランスミニやクリミールなどの栄養補助食品を使い、少量でカロリーを摂取できるもの、おやつなどの間食でカロリーを補いましょう。

まったく食べない

食事が目の前に来ても、まったく食べない場合は、以前の生活環境に近づけみましょう。Aさんは覚えていなくても雰囲気は感じ取ることができるので、食事を摂取されるかもしれません。歯科疾患があるかもしれません。自身で痛みや苦痛を伝えることが出来ない場合もあるので、歯科受診も検討の余地ありです。原因不明な場合は、根気強く待ちましょう。嚥下状態に不安がある場合、STの先生に嚥下評価してもらった上で、食事介助しましょう。

食欲の低下

アルツハイマー型認知症では嗅覚が低下しやすいといわれており、美味しく感じない場合があるようです。心不全や糖尿病などの基礎疾患がある場合、主治医と相談してから、ふりかけやのり佃煮などで味を濃くしたり、温かい状態で提供するなどしてみましょう。口内炎などがある場合もあるので、口腔内の観察もしてみましょう。

まとめ

最後に、、、加齢による自然な流れである場合もあります。本人が食べることを楽しんでいただくことが大切だと思います。年齢や病期を考慮して、看取りということも視野に入れながら、Aさんらしさを大切に、本人、家族にとってのベストを共に探していきましょう。
レビー小体型認知症における食事援助
血管性認知症における食事援助
前頭側頭型認知症における食事援助
も参考になればと思います。

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