【認知症・看護】アルツハイマー型認知症の病態経過 ~認知症を知る~

看護

前回、【認知症・看護】認知症の内訳 ~認知症を知る~で認知症の占める種類についてみてきました。
今回は、アルツハイマー型認知症の病態経過をみていきましょう。

概念

Alzheimer型認知症は、病理学的に神経原線維変化(tauopathy)とアミロイド(ABamyloi-dosis:大脳皮質、脳血管)の2つの変化を特徴とするAlzheimer病によって大脳皮質、海馬、前脳底部で神経細胞死、シナプス減少、アセチルコリン低下が起こり、認知症を発症した段階である。主要症状は緩徐進行性の出来事記憶(episodic memory)障害に始まる記憶と学習の障害が典型的で、失語、遂行機能障害、視空間機能障害と人格変化などの社会的認知機能の障害に進展する。

認知症疾患診察ガイドライン2017より引用

病態

常染色体優性遺伝性Alzheimer病ではAPP、PSEN1、PSEN2に多数の遺伝子変異が認められており、いずれの変異もAβ42産生亢進を起こすことが明らかにされている。Aβの産生増加・輸送・代謝の低下により、形成されたAβ凝集体(オリゴマー)がシナプスを障害し、線形原線維変化と神経細胞死を誘発し、軽度認知障害や認知症を発症する機序が推定(Amyloidβ-tauopathy カスケード仮説)

認知症疾患診察ガイドライン2017より引用
概念、病態を簡単にまとめると、脳の海馬など記憶を司る神経にアミロイドβという蛋白質が蓄積し、神経細胞が死ぬことで少しずつダメージが蓄積し、脳の萎縮、記憶の保持能力が損なわれ認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたすという感じでしょうか。認知症を発症する約20年前からアミロイドβという蛋白質が脳神経に蓄積していると言われていたりします。しかし、現在はアミロイドβ説も怪しいらしいですが。。。

アルツハイマー型認知症の認知機能の変化

認知機能の変化について、障害される順番があり、一般的に①日時、季節、②場所、③人の順番に忘れていくとされています。

①日時、季節を忘れる段階は軽度であり認知症発症から2~4年の間に失われる認知機能とされています。そのため、約束した日時を忘れてしまったり、物を置き忘れて無くしものが増えたりといった日常生活における支障が出てきます。

②場所を忘れる段階では中等度であり、発症から2~7年の間に失われる認知機能とされています。それに伴い、お金の管理や買い物ができなくなったり、季節や場所に見合った服装ができなくなったり、排泄の仕方が分からず失禁してしまったりといった症状がみられるようになります。

③人を忘れる段階では重度であり発症から7年以降に失われる認知機能とされています。また、表情が無くなり、発語も乏しくなり、「ごめんね」や「はい」、「ありがとう」などの一言を発する程度にとどまってしまいます。さらに重度になると発語もなくなり、昏迷、昏睡状態になります。また、歩くことも困難になります。

これらの機能は発症から10年で失われるとされています。

図にするとこのようになります。

まとめ

障害される認知機能にも順番があり、どの機能が障害されているかで、アルツハイマー型認知症の進行度が分かります。進行度に合わせたケア、関りを行うことで、患者さんにとってその瞬間、瞬間が幸せで居心地のいいひと時になればと思います。次回は【認知症・看護】軽度認知障害、MCIとは ~認知症を知る~についてです。
限界。

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