【認知症・看護】軽度認知障害、MCIとは ~認知症を知る~

看護

前回は【認知症・看護】アルツハイマー型認知症の病態経過 ~認知症を知る~についてみてきました。

今回は、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment、以下MCIと略す)についてみていきましょう。

現在、日本はご存じの通り高齢化が進み、2022年9月18日の毎日新聞によると

「総務省が18日公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は前年より6万人多い3627万人で過去最多を更新した。」とのこと。総務省の統計では2022年8月の日本の全人口は1億2478万人であり、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は29%に達し、3人に1人は高齢者であるということになります。

MCI(軽度認知障害)とは

認知症のように普段の生活に支障をきたすほどではありませんが、記憶などの能力が低下し、正常とも認知症ともいえない状態のことを「軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)」と言います。

(厚生労働省HPより引用)

軽度認知障害(MCI)のサイン・症状

MCIの特徴としては、下記の3つが挙げられます。

①以前と比べてもの忘れなどの認知機能の低下がある、本人が自覚している、または家族等によって気づかれる
②もの忘れが多いという自覚がある
③日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない

(厚生労働省HPより引用)

MCI(Mild Cognitive Impairment)とは、軽度認知障害、あるいは軽度認知機能障害と訳され、認知症、とくにアルツハイマー型の前駆状態に関する代表的な診断概念です。

認知機能は低下しているが、認知症の診断に至らない状態を指し、正常加齢と認知症との間、いわばグレーゾーンを指す概念であります。

この正常加齢と認知症の間にある人をどのように扱うべきかということは以前より問題となっており、正常加齢の延長線上に捉えようとする立場(Nomality model) と、認知症、特にアルツハイマー病の初期として捉えようとする立場(Pathology model) の2つの立場がこれまでに提唱されてきました。しかしながら、MCIの神経病理像が明らかになるにつれ、軽度ではあっても生理的加齢とは区別して論じるべきであると考えられるようになり、現在においては主に、認知症へと進行する疾患の初期段階としてMCIは理解されています。

また、MCIは2つの意味合いを持っており、①健常高齢者と認知症高齢者との境界状態を意味します、②将来認知症に移行する前段階の状態の2つです。
特に②の意味合いが重要で、MCIは進行性であり認知症へと移行するということです。
MCIから1年で約10%、4年で約50%程度がアルツハイマー型認知症へと移行するともいわれています。

この数値は、通常の健常高齢者の認知症発症率が、年1~2%であるのに対し非常に高いです。
よって、早期発見、早期治療、早期診断が必要となります。

(https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/8293/meth11_66.pdfより引用)

まとめ

MCIには二つの意味合いがあり、①健常者と認知症の境界、②認知症の前段階の2つです。また、MCIは健常者に比べて認知症に移行する割合が高く、早期発見、早期治療が必要になります。
限界。

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