【認知症・看護】任意入院の患者さんが帰りたいと言ってきた ~そんな時あなたならどうする?~

看護

【看護】精神科の5つの入院形態について ~入院に形態ってあるの??~の記事で、任意入院は入院を必要とする精神障害者である本人の同意の下、入院する形態ということを書きました。

では、任意入院の患者さんが「退院したいです」と言ってきた場合、どうすればいいのでしょうか。
その対応について考えます。

任意入院の解釈

任意入院は入院を必要とする精神障害者である本人の同意がある状態で、入院している形態をさします。これを解釈すると、医師の診察にて「入院が必要ですよ」と判断されて、さらに本人も入院する意思があるという状態です。任意入院の患者さんが「退院したい」と希望すれば退院してもらうのが、基本ですが、退院を決定するのは主治医です。看護師は療養上の世話、または診療の補助を行うことを生業とするので、患者さんからの退院希望にたいして決定権はありません。

傾聴する

患者さんがなぜ、退院したいのか気持ちや考えを聞きましょう。認知症患者さんの場合、入院する際の入院説明の瞬間は理解していても、短期記憶が乏しくなっているため、入院していることを忘れてしまうことがあります。そのため、なぜ入院しているのか理解できず、外に出られない、また家に帰ることができないことに対して「怒り」の感情が芽生えることがあります。そういう時は、根気強く患者さんの気持ちを聴いたり、タッチングを行ったり、散歩やお茶を飲むなどして、考えや気持ちを一緒に整理しましょう。それでも、患者さんが不穏になったり、自傷他害のおそれが出現した場合は、先輩やリーダー、主治医に報告しましょう。一人で対応すると、危険なこともあるので複数人で対応することも時には必要です。逆に複数人で対応すると患者さんは圧迫感を感じる場合もあるので、口調や表情、言動などの反応をよく観察して対応しましょう。

入院が必要な状態であることを説明する

患者さんの病状によっては、入院しなければならない理由が分からなくなる場合があります。そういう場合は、患者さんに再度、現状を説明しましょう。説明するときは、頭ごなしに言うのではなく、支援者であることや、どうすれば良くなるか、退院に近づくことができるかを一緒に考え、伝えましょう。興奮して暴れているときも、患者さんは記憶に残っています。誠実な態度で向き合いましょう。もちろん、暴力などのリスクがある場合は男性看護師や他病棟から応援を呼んだりして複数人で対応することが好ましいです。医療者の安全も確保しましょう。

主治医との診察の機会を設ける

現状の説明を行っても納得されず、退院を希望される場合は、主治医との診察の機会を設けましょう。主治医から病状や現状を説明してもらうことで納得される患者さんもいます。しかし、実際は医師も忙しいため、退院希望の患者さんを診察する時間をなかなか設けることができないのが現状です。自傷他害のリスクがある緊急の場合は、すぐに連絡し屯用薬を内服、投与するか、行動制限(隔離、拘束)を行うか、または入院形態を見直す(医療保護入院に切り替える)など検討することも必要です。

まとめ

任意入院は本人の同意のもと入院していることが前提ですが、入院が必要かどうかを判断するのは医師です。看護師は入院生活を穏やかに過ごすことができるように患者さんにかかわっていくことが必要です。それと同時に、医師と医療保護入院にするかを検討したりすることで、「今」患者さんにとって必要なことは何かを常に考え、安全を守り、退院に向けて必要な治療を受けることができるように連携していくことが大切ではないでしょうか。

今回はここまで。ありがとうございました(^^)

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