【看護】輸液のキホン② ~体内における輸液の水の分布~

栄養

輸液のキホン①で、体内の水の分布や、Naの濃度、Naは水を引き付けるということを学びました。

では実際に、代表的な輸液の水の分布みていきましょう。

細胞:間質:血管 8:3:1に分布するので、
今回は計算しやすくするため、12で割り切れる数字として輸液量は1200mlで計算します。

生理食塩水

生理食塩水の特徴は2つ

Na濃度は154mEq/L
細胞外液にのみに分布すること

が挙げられます。
よって、細胞には水は入らないので

となります。
大量の出血があり循環血液量を保ちたい場合に選択されることが多い、救急や麻酔の現場でよく利用されます。
また、下痢や嘔吐などのナトリウム欠乏性脱水(低張性脱水)でも使用されます。

生理食塩水は大量投与で重炭酸イオンが低下し、希釈性アシドーシスになるので注意が必要です。

5%ブドウ糖液

5%ブドウ糖液の別名は free waterとも呼ばれます。その由来として

ナトリウムが入っていないこと
Barrier free すなわち細胞膜に関係なく分布すること

が挙げられます。
細胞膜に関係なく、分布することを意識して考えてみると

上記のように分布することが分かります。
5%ブドウ糖液のブドウ糖は浸透圧を保つためのものであり、投与後に糖が代謝されると水と二酸化炭素へ分解されるので真水を輸液しているようなものです。
よって、投与しすぎると細胞の過膨張を引き起こすので注意が必要です。

1号液

1号液の特徴

カリウムが入っていないこと
生理食塩水:5%ブドウ糖液 = 3:2

上記の割合で配合されています。
生理食塩水と5%ブドウ糖液の水の分布を思い出してください。
1200mlのうち
3/5(720ml)は生理食塩水の分布
2/5(480ml)は5%ブドウ糖液の分布
水の動きになります。

水の分布で重要なのは、細胞>血管>間質です。
細胞内の水は細胞機能を保つために必要で例えば脳細胞が機能しなくなれば意識障害につながるし、循環血液量は血圧を保つために必要です。よって、間質から水が細胞や血管に供給されることで、血圧や細胞機能が失われないように代償してくれているというわけです。言い換えれば、脱水は間質から起こるといえます。
脱水の時に使われることが多い理由はこれです。
また、ナトリウム濃度が生理食塩水の2/3程度であること、カリウムが入っていないことから心機能や腎機能が不明時の開始液として便利です。

3号液

生理食塩水:5%ブドウ糖液 = 1:4


細胞内に水を送りたいときに選択する。
細胞内が脱水している状態、長期的に水分不足である状態、細胞内脱水を防ぎたい場合
例えば、術後の患者さんや嚥下障害のある患者さんが当てはまります。
維持輸液という別名もあます。それは、輸液のキホン①でも出てきたように
血管:間質:細胞 = 1:3:8
生理的な分布に一番近いからです。

まとめ

生理食塩水は救急や麻酔の現場で使われる、1号液は脱水の患者さん、3号液は長期間入院が必要な患者さんの生命維持に使われる輸液であるといえますね。
輸液のキホン③
復習は輸液のキホン①

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